自分が使った花材事典:クラスペディア

2016年7月5日

あまりにも「まんまる」なので、素人さんに「作り物でしょう?」と言われることがあります。

ひょろーっと細長い茎に、ほぼ球体の花首。しかも、鮮やかな黄色。おもちゃみたいな花です。
クラスペディアは、主にオールトラリアからの輸入花です。聞いた話なので、真偽のほどは不明なのですが、この花は、人の手で「まんまるく作ろう」と品種改良されたものではないらしいです。原種の状態で「まんまる」に近いのだそうです。
ということは、オーストラリアの大地には、この黄色いまんまるがポコポコと生えているんでしょうかね?

もっとも、私はすでに「オーストラリア関係」ではあまり驚かない耐性を身につけていますので、あの大陸ならば「想定内」です。
バンクシアとかも、あのまんまで自然に咲いてるんですよね。スチールグラスの大株とかも、見るとびっくりしますよ(私は、木の状態のスチールグラスを見て、意表をつかれてフリーズしました。私が見たのはオーストラリアの大地ではなくて、京都府立植物園でしたけど……)。

という、「オーストラリアの変なまんまるフラワー」であります、クラスペディアですが。
こいつは、面白い見た目のうえに、花の持ちが良いので、展覧会使用にも耐えてくれます。
そのままドライにもなり、ドライ化しても見た目がほとんど変わりませんので、手元で色々と研究したいときには、むしろ水から離してさっさとドライにした方が良い場合もあるでしょう。

水につけたままにすると、軸が下の方から黒くなり、ズルズルに皮がめくれてきたりします。
ドライにしてしまえば、水分で劣化するのは止めることができますが、そのかわり乾燥してしまいますので、軸にしなやかさが無くなり、曲げようとすると折れてしまうようになります。

クラスペディアの面白みは、やはり、黄色いまんまるな花の部分です。

楽しい印象にも、不思議な印象にも、とぼけた印象にも生けられますね。
玉の飛ばし方で、リズムを付けることなどもできます。

玉の部分のアップ。

要するに、小さな花が密集しているのです。

しかし、いけばななどの作品を作る場合には、丸い花の部分だけでなく、茎の細い線に注目してみるのも面白いです。


フトイなどに比べると、シャープさでは劣ります。茎にケバケバがあり、それが徐々に茶色くなっていったりするので、茎を「ビシっと決める見せ場」にするのは難しい感もあります。
しかし、丸い部分との対比が面白いので、クラスペディアならではの面白さが表現できます。

クラスペディアには、「ゴールドスティック」という別名があります。
打楽器を演奏するスティックに似ていることからのネーミングだと思います。

ほら、このままヴィブラフォンの演奏とか、できそう♪

私としては、「ゴールドスティック」の方が、日本人には定着するんじゃないかと思っていましたが、なぜか「クラスペディア」の方が定着しましたね。更にイメージし易い、「イエローボール」なんていう呼び方も、20年くらい前にはあったんだけど……なぜ、クラスペディアで落ち着いたんでしょうかねえ。

クラスペディは、いとも簡単にドライ化できます。本サイトのこちらのページで、上の画像のクラスペディアをドライにしたものを公開しています→クラスペディア(ドライ)