自分が使った花材事典:田無つつじ

2022年5月18日

つつじには種類がたくさんあります。
このつつじは、葉も花も元々少なめでした。私がむしってしまったわけではありません。

切花のつつじは、もうちょっと花がびっしり付いているものの方が多いですね。

つつじは、枝つき、花の形・大きさ、花付きなどが異なる種類がたくさんあります。同じつつじでも、品種違いだと、パッと見た印象がかなり違いますので、全部のつつじがこんな感じということではありません。

花に近づいてみましょう。

開花時のつつじを生けられるのは、とても嬉しいことです。
しかし、葉のつつじというのも、いけばな家はよく使います。また、完全に葉を落としたつつじも、使うことがあります。ということは、つまり枝の形になかなか面白い風情があるからです。

いけばなでつつじを扱ったことがある人なら分かると思いますが、お稽古花として入荷したつつじの包みを開けると、「ばっさばさ」のことがありますよね。
このまま生けたって、「荒れたつつじの植え込み」じゃないか……みたいなこと、ありません?
そういうときに、いけばな家は枝を作り始めます。わさわさの枝の中で、自分が今生けたい枝はどれなのかという吟味を始めるわけですね。
見極めたら、不要な枝を落としていくのですが、これが最初は切れないのよね! 分かるよ。みんな分かってるよ。君だけが切れないんじゃないぞ。安心したまえ。

切れないのが人の心の常だ、と分かっているので、わが家の稽古では、「恐れずに切れ。切って失敗するのは恥ずかしくない!」と全員に教育しました。
その結果、うちのお弟子さんたちは、全員、「敵に後ろは見せん」的な、サムライのような人たちになってしまいました。