自分が使った花材事典:ガーベラ(ピンク 中黒)

2020年2月25日

ガーベラは、わりと一般の方にも知名度が高く人気があるので、花束のオーダーを受けることも多い花です。

パカッと丸く開く、子どもがお絵かきに描くような花ですので、とにかく「お花が咲いている」というアピールの強い花です。
しかし、ガーベラオンリーの花束というのは、あまり得策ではないと私は思っています。上の画像からも分かるように、細い軸がぴゅーっと伸びた先に花が1個付いている構造なので、「幅が無い」素材なんです。うっかりすると、とても貧弱に見える危険性があります。

私は、花屋稼業でも、いけばなの稽古でも、ガーベラはよく使います。ところが、実を言うと、ガーベラが大っきらいだったりします。これは、「私もそうなの」という人に会ったことがないので、世の中的にも珍しい方なのかもしれません。
何が嫌いかっていうと、このブログでも何度か書いたような気がしますが、「見た目がキモチ悪い」んです。なんか、タンポポが放射能浴びちゃったような、「異常」というか、「病的」というか、「本来、こうであってはいけないもの」みたいな気がするんです。
これは、完全に私の個人的な感覚でして、ガーベラからすれば「これが私の普通なんですけど」と言いたくなることでしょうね……。

そんな、無類のガーベラ嫌いのワタクシ、最近「ガーベラ700本使う大作」の助っ人に入りました。一作に700も使ったのは、さすがの私も初めてでした。
一鉢に100本近く入れるアレンジは経験がありますが、なかなか700は使う機会がありませんので、いい経験をさせてもらったと思っています。
ちなみに、「一日に700本扱う」ということは、わりとあります。多いときは、1000本くらい水揚げしたりしますから。でも、「一作に700本」は、もしかすると今後の人生でも無いかもしれません。

ガーベラ嫌いのくせに、私には「ガーベラを矯められる人になりたい」という野望があります。ワイヤーも使わずに、あの折れそうなガーベラを、己の意のままに曲げていく指先の魔術師になりたいですねえ。いけばな人ならわかってもらえると思いますが……そういうのカッコイイよね。

普通、ガーベラを曲げようと思ったら、簡単にやるのは「茎にワイヤーを挿して曲げる」という方法です。
これが、私はかなり壊滅的に下手なんです。ワイヤーをまっすぐに入れていく時点で、大事故になったりします。自分不器用なもので……。

ガーベラは、花屋のバケツの中に入っている段階では、みんな下の画像のように、フィルムをかぶせられています。

稀に、これを「取っちゃいけないんだ」と思い込んでいる人がいますが、どうぞ遠慮なく取ってください。
そんなやつはいないだろう、って思うでしょ? いるんだって。結構な数でいるんだって。私は、いけばなの稽古場でこれを外さないで生けている人さえ見ています。それも、1人じゃありませんよ。
私の目にとまる範囲だけでも、複数存在しているんですから、世間にもいるはずです。
私は、何度か見ているから知っているんですが、「これは……外していいの?」って思うらしんですよね。そして、わずかの時間迷ったあげく、「いや、付けとくものなんだろう」という感じで取るのをやめるんですよ。もしくは、「先生に見てもらう直前に外そう」とか、思っているんでしょうか。

保護フィルムの話しのついでに、簡単でスピーディーなフィルムの外し方を紹介します。
(はずすスピードを要求されない人には不要の知識です)
(多くの花好きさんには、当たり前の知識です)
(画像で説明するほど大それた知識ではありません)

フィルムの、下の方、花のがくの下のところをつまんで、左右に引っ張ると簡単にペリッといきます。

フィルム製造時の接着線から切れますので、線の入っていないところを持ってペリっとやってください。
茎の根元のほうからフィルムを引っこ抜くよりも、花の痛みも無く、簡単に取れます。
ただし、「お稽古の後に、フィルムをはめなおして持って帰ろう」と考えている場合には向きません。